16日火曜日、前の日できなかった関東ロードレース試走のため成田へ。路面も濡れていないし風もほとんどない。足裏の痛みもすっかり取れた。一日延ばして正解だった。
今週末が大会なので立て看板がいくつかあったけれど、普通のマラソン大会に比べて少ないのは、totoの補助事業でないからだろうか。そして、ご協力下さいだけで、通行止めとは書いてない。ランナーの合間を縫って車を通すのかもしれない。八千代みたいに途中で待つのは嫌だなあ。
本番シューズで走って、ペースは控えめにしたけれどkm6'53"。4週前に同じコースを走った時より10kmで1分半ほど速かった。信号待ちがあったのでもう少し縮められるし、集団で走れば風の抵抗も避けられる。あとは当日の天候次第。
平均心拍数も139で、急坂で極端に上がることもなかった。3日休んだので少し心配したが10km楽に走れたし、走り終わってどこも痛くない。結果オーライで、まずまずの準備ができたようだ。
今日は図書館で借りた本の書評。武士団の成立と貴姓(藤原氏・源氏・平氏)を名乗ったことに関する考察である。
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副題「名字と系図に秘められた企て」だが、中世武士団が藤原一族や源氏・平氏を僭称することに何か秘密の意図があったと述べている訳ではない。その意味では、読んでいて目から鱗が落ちるということはない。
確かに著者は中世の古文書をよく調べていて、どういう名乗りを誰がしたということは参考になる。また、よく言われる近藤は「近江の藤原」で、佐藤は「左衛門尉の藤原」ではなく、父系と母系の双方から一字ずつ取って「二姓合成通称」としたのが始まりというのも、確かにそう名乗った武士もいたかもしれない。
しかし、みんながそうとは考えにくい。父系が佐伯氏で母系が藤原氏、だから本来藤原ではないのだが、通称佐藤で藤原一族を装うことはあったかもしれない。しかし、武士のステータスは血筋でなく実力。弁慶は武芸と腕力に優れていたから義経の郎党筆頭なのである。
そして、時代が下って戦国時代、織田信長の通称は上総介である。別に房総半島に地盤があった訳ではなく、上総国府の二等官に任命された訳でもない。武士としてふさわしい名前と思ったからそう名乗ったのである。大岡越前も越前を治めていないし、吉良上野介も上州に領地はない。
地方の行政官だけでなく、朝廷の役職を使うことも多かった。浅野内匠頭は内匠寮の長官だし、主膳、式部、掃部(かもん)もよく使われた。今日でいうと経済産業省や国土交通省、文部科学省、宮内庁の役職だから、あまり強そうでない。
「秘められた企て」と副題を付ける以上、なぜ武士達はそうした名乗り、通称名を名乗るのがふさわしいと思ったのか考察するのかと思ったが、残念ながらそういうことはない。昔のボクサーのリングネームと同じで、強そうだから使ったというだけである。
もうひとつ不満なのは、貴姓を詐称したとされる時期が、前九年後三年の役だったり、院政期だったり、あるいは鎌倉・室町時代と時期的にかなり離れていることである。
平安時代も終わりに近づくと、殿上人はほとんど藤原氏なので、摂関家であっても一条、九条、近衛など通称を名乗らないと区別がつかなくなった。その時期の「△藤」と、前後五百年間近く違う時期とは、事情が違うように思える。
鎌倉・室町期になると平安時代ははるか昔である。「わが家の先祖は誰々」という伝承はあっただろうが、それを自分達のアイデンティティと結びつける発想まであったかどうか。それよりも「四代前の祖先が近江介だから近藤」の方が自然に感じる。
私自身、親から聞いているのは四、五代前までのことくらいで、それより前はどうしていたのか知らない。五百年違えば十四、五代。そんな祖先のことを知らないのは、私が貧乏人だからという訳でもあるまい。
思うに、系図だとか家伝が残っているのは貴族などごく一握りの家系だけで、大部分の家族は紙に書かれた記録など持っていない。父系と母系との違いも、記録に残すから名字は父系となるので、記録がなければ先祖は藤原氏というだけである。父系か母系かにこだわって伝承されたとも思えない。
だから、著者の主張する「二姓合成通称」についても、それを通称名にした武士もいたし、そうでない武士もいたということだろう。
「佐藤」が佐伯氏と藤原氏の合成までは納得できても、「後藤」がもともと五藤で五百木部(いおきべ)氏というのはちょっと苦しいようだ。秘められた企てでもないし、偽りの血脈ということもできないと思う。
p.s. 書評過去記事のまとめページはこちら。1970年代少女マンガの記事もあります。
副題「名字と系図に秘められた企て」だが、中世の武士達が藤原一族を装うことで何かを企てたと述べている訳ではない。いわゆるアイデンティティの確立であり、織田信長が通称「上総介」なのと同じことのように思う。
