10月14日月曜日、世間では連休である。年金生活者に平日も休日もないけれど、休日は道路も公園も混むのでできれば人混みは避けたい。
予定していた10マイルは済ませたので、軽めの調整。片道2kmの平坦コースを2往復。週末からレースシューズのMS3を試していて、長い距離走ったらヒザに違和感が生じたので少し心配である。
普段からゆる目のジョグだが、この日はさらに抑えて走る。ところが、ヒザからスネ、ふくらはぎがぼんやりする。痛む訳ではないが、神経が通っていないような妙な違和感がある。
カーボンプレートに慣れていないためか、あるいは走り込みが足りなくて筋力が追いついていないのかもしれない。カーボンというより軽くて履いているのだが、難しいものである。
先週、日本中央競馬会(JRA)所属の女性騎手、藤田奈七子が電撃引退した。寿退社とかおめでたい話ではない。競馬場にスマホを持ち込んだのがバレて、いわば「不正疑い」で処分を受け、引退届を提出した(させられた)のである。一流・超一流ではないが、騎乗機会に恵まれた有名なジョッキーであった。
JRAの若手騎手多数が、スマホ持ち込みで長期間騎乗停止処分を受けたのはつい最近の話である。藤田自身も、騎乗停止には至らなかったものの厳重注意を受けている。当然、次にやったらクビということは言われていたはずで、にもかかわらずスマホを手放せなかったのは中毒なのだろう。
競馬場から外部と通信してはならないのは、八百長レースにつながるからである。JRAが巨大企業といっても、その売上はファンが購入する1口100円の馬券が積み重なったものである。そこから世界的にも高額な賞金も出るし、馬主、調教師、騎手、生産者(牧場)の生活も成り立つ。
だからJRAにとって最も怖いのは、不正レースの疑いを受けて馬券が売れなくなることである。いまの関係者も監督官庁もそんな時代のことは知らないが、1960年代までは八百長レースと騒がれ開催ができなくなった事例はいくつもある。後楽園競輪や大井オートレースが廃止されたのも、それがひとつの要因であった。
いまでも地方競馬ではそういうレースが見られるけれども、さすがに中央競馬ではあまり見ない。せいぜい、勝ったと思って追うのを止めたくらいである。しかし、JRAとしては手を緩めることはできない。だからいまだに、競馬場にスマホを持ち込んで通信するのは許されないのである。
かつては、恐い人達に弱みを握られた騎手が、人気のある馬に乗った時に馬券から外れるというのが八百長レースだった。外部との通信を許すと、そういうことが可能になる。藤田奈七子がそこまで人気馬に乗ることはないが、だからといって開催中に外部と通信していいことにはならない。
スマホの開催中の使用で引退届を提出した藤田元騎手。20代のOLだったら考えられない収入があっただろうに、それをドブに捨ててしまった。
どこかのスポーツ新聞に匿名の馬主が、JRAの監督責任はどうなる。民間だったら引責辞任だと見当外れなことを言っている。だがJRAと騎手個人の間に雇用契約はなく、騎手はあくまで個人事業主である。JRAは開催中のことについて監督権限はあるが、個人の行動に干渉できない。
つまり「こういうことをしたら競馬に乗れませんよ(騎手免許を更新しませんよ)」と指導することはできるが、スマホを持ってくること自体を力づくで止めることはできない。だから、今回のJRAの処分そのものはまったく問題なく、匿名の馬主は競馬に詳しくないのだろう(そういう人は山ほどいる)。
その意味で、一家そろって、古くから競馬に関わっている競馬ムラの人達は、過去の経緯は実体験として受け継がれているから、クビになることまでやらない。先般、競馬場内に自家用車で進入した騎手は競馬ムラ出身者だったが、おそらくそこまで悪いとは思わなかったのだろう(救急車が入ることはある)。
藤田元騎手は競馬ムラ出身ではなく、一般社会から競馬学校に入ってきたという。だから、そのあたりは家族の実体験として受け継がれていなかったし、誰も教えてくれなかったのだろう。20代のOLだったら考えられないくらい収入があったはずだが、かといって一生遊んで暮らせるほど稼いだ訳でもない。これから少なくとも三四十年、先は長い。
そして、こういう形でJRAから離れると、細江さんとか赤木さんのように競馬ジャーナリズムで食べていくことも難しい。ギャンブルに関わる者が不正疑いを持たれることがいかに致命的か、想像力がなかったのか、それともスマホ中毒がそこまで進んでいたのだろうか。
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