このところ政治・選挙絡みの話題が多く、素通りするのも何なので書いておくことにした。
昨日行われた自民党総裁選、もともとの大義名分は、キックバック、政治資金規正法違反をはじめとした自民党の信頼失墜に対し、岸田首相自らが責任を取るということだったはずである。
だから、9人が立候補した選挙で、誰がいちばん後継総裁にふさわしくないかといえば、騒ぎの元を作った安倍派であり、安倍に近い議員である。だから、高市氏は今回遠慮するのが筋であり、当然そうするものと思っていた。
ところが当然のように立候補して、「勝ちに行く」などと言っている。もちろんバックにいるのはアベノマスク一派であり、派閥はないことになっているが我々が一番強いと言いたいのである。これで女・安倍が勝ったら自民党は変わるつもりはないということだし、政治も変わらない。
9人が立候補した自民党総裁選。終盤まで誰が勝ちそうなのか報道がない不透明な状況だったが、石破元防衛庁長官が女安倍を破って新総裁に選出された。
小泉でも小林でもいいから、高市だけはやめてほしいと思っていたら、案の定国会議員票では石破氏に大差をつけ、トップで決選投票に進む。石破の党内での人気のなさは有名で、麻生が高市支持に回ったという報道もあり、決選投票でも予断を許さないと思われた。
ところが、一回目投票の27票差を逆転、逆に21票差を付けて決選投票を制した。決選投票前の5分間演説でも、正直言って格調高さが違っていたけれども、なにしろ党内で人気がないので厳しいと思っていた。
NHK解説では、高市氏の保守的すぎる姿勢が、党内で支持を広げられなかった原因ではないかと分析していた。保守的というのはマイルドな表現で、はっきりいって安倍直系の右派ということである。ルペンとかメローニである。米韓中との関係でいうなら、防衛庁長官の長い石破氏の方がずっと堅実だ。
おそらく決選投票に向けた投票行動は、マスコミが後付けでいろいろ分析するだろうが、国会議員票でいうなら「小石河連合」が効いてきたということだし、戦略的にいうなら次の選挙で誰なら勝てるか(負けを少なくできるか)をみんな考えたということである。
高市氏が勝ったところで「初の女性総理」と持ち上げられるのは最初だけで、選挙になれば逆風は変わらない。そもそも実態は安倍派で、騒ぎを起こした張本人なのである。それよりも、安倍とは距離があった石破氏を選ぶ方が言い訳がきく。
自民党は昔から、支持率が下がって首相を替えざるを得なくなると、党内反主流派がその受け皿になることが多かった。疑似的な政権交代である。それが田中院政の頃からおかしくなり、安倍時代にはまったく機能しなくなった。
いまや派閥はなくなったという建前なのだが、実際は数を頼みに女・安倍が多数の票を集める状態である。しかし民主主義は、党内で多数を占めた派閥や国会で多数を占めた党が好き勝手できるものではない。その意味で、党内に嫌われる論客である石破氏の登板はたいへん喜ばしい。
石破氏は、数十年前に就職した銀行の1年先輩である(面識はない)。家の奥さんもそうなので、茗荷谷で同じ入社式に出ていたことになる。
石破氏は20代で地元に帰って国会議員になったし、その銀行も合併を繰り返して今はない。私はリタイアして8年以上が経過した堂々たる年金生活者だが、彼はこれから命がけで最後のお勤めをしなければならない。
先般、立憲民主党の党首になった野田氏も同じ高校の同期だし、自分と同じような場所にいた人達がいまだに第一線で活躍しているのを見るのはたいへん心強い。日本の政治もそこまでひどくはなかったと思っている。
長くなったので、もうひとつの話題は週明けにでも。
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