Go Down Gamblin' ver.6

私taipaが趣味の世界からお送りします

一本杉峠・きのこ山巡視道(後編)

国有林巡視道は、これまで何度か歩いたので少し慣れてきた。三角点に似た標柱が尾根の目立つ場所にあり、近くの木に赤いプラスチックの境界見出票が結んである。境界見出票には通し番号が付けられていて、次は1つ上か1つ下の番号になる。

標柱間の間隔が広い場合には、「補」ないし「ホ」の番号が付いていて、標柱でなく石に彫られているケースもある。坊主山の男ノ川ルート入口に書いてあるのは何の意味かと思っていたのだが、国有林管理用のものだった訳である。

すごく細かくて見づらいけれど、林野庁のホームページには実測図のコピーがアクロバット・リーダーで開けるようになっている。1/25000図と違って実物を購入できないのが玉に瑕だが、方向の目安をつけるには役立つ。国有「林」なのでほとんど景色は開けず、方向が分かりづらい。

さて、国有林巡視道なのは分かったが、だからといって安心はできない。尾根を進む道だろうとは思うが、尾根の分かれ道があるし、足元は急斜面である。しばらく進むと、巡視道のメインに達したらしく踏み跡は明らかになるが、境界見出票を見逃さないよう慎重に進む。

 

きのこ山の「山火事注意」を入る踏み跡は、国有林巡視道だった。左側の木に「境界見出票」の赤いプラスチック札が見える。これを赤リボン代わりに下る。

 

WEBによると、この巡視道は並行して伸びる林道に出るらしい。林道は北側、つまり右手から合わさるはずである。それで右側を注意するけれども、急斜面が谷へと切れ落ちて間もなく合流するようには見えない。15分、20分と進むうちに、再び踏み跡が怪しくなってきた。

どちらの方向に進んでも木の枝が邪魔して、まっすぐ進めない。目の前には蜘蛛の巣が縦横無尽で、何度も大きな蜘蛛にぶつかりそうになった。国有林とはいっても頻繁に管理される場所ばかりではないだろうし、尾根だけ見る訳ではないだろうから歩かれない道もある。

気がつくと、しばらく赤プラスチックを見ていない。どこかで巡視道から外れてしまっただろうかと不安になる。筑波山だと岩に赤ペンキで印をつけてあることが多いが、きのこ山はそれほど巨岩・奇岩がない山域である。

いずれにせよ、尾根を下っていけばどこかの道に出るはずと思い、尾根らしき踏み跡を下りて行く。すると、少し先に人工物らしきものが見える。近づくと、担当者の名前と管理用の記号らしきものが書かれたワープロ打ちのカードが枝にくくりつけてあった。

このカードから先で少し傾斜はきつくなるが、高い樹木や深い薮がなくなり人里が近い雰囲気が出てくる。急坂を下るとその先は広くなり、路盤のコンクリが緑色に染まった林道に合流した。

 

道はそれほど分かりにくくないが、蜘蛛の巣をかき分けるのに苦労した。林道に出て一安心。

ここまで歩いた巡視道も登山道として歩きにくくはないが、林道は平らなのでさらに歩きやすい。5分ほど下ると谷田部さん宅で、土地の人でなければ私道と思ってしまうかもしれない。おそらく、もともと林業用に整備された林道と思うが(実は違った。詳しくは次回の登山記録で)、よく管理されている。

林道を下って県道と合流する反対側に、水分神と馬頭尊の石碑が立てられていた。筑波山周辺には、この種の石碑がたいへん多い。明治時代より前には、人口も経済力もいまよりずっと大きかったであろう。

よく考えれば、先日走った将門マラソンの岩井も、筑波からまっすぐ広がる平野部の向こう側である。つまり、明治どころか、平安時代以来開かれてきた水田地帯であり、平将門も上総介平忠常もこの周辺を地盤としたので有力武将だったのである。

現在の茨城県が大きな経済力を持っていたのは官名にも表れていて、常陸守は親王が任ぜられる通例であった。皇族以外が就けるのは次官の常陸介までで、だから武士が通称名とする場合も親王任国の「守」は付けない。織田信長が上総介で、大岡忠相が越前守なのはその名残りである。信長くらい偉くても「上総守」は付けないし、千葉県を治めていた訳でもない。

県道に出て麓を見下ろすと、まだ30分くらいかかりそうなのを見て先は長いと思ってしまった。きのこ山はどう登っても下っても1時間半かかる山のようである。

 

この日の行程

真壁城駐車場(40) 08:45
9:20 白井集落分岐(40) 09:20
10:20 岩石採取所分岐(146) 10:20
11:05 一本杉峠(428) 11:30
12:00 足尾神社登り口(535) 12:00
12:35 きのこ山(527) 12:40
14:15 真壁城駐車場(40)  [GPS測定距離 15.2km]

 

p.s.中高年の山歩きシリーズ、バックナンバーはこちら

 

 

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林道から県道に出たところに、水分神と馬頭尊の石碑があった。この周辺はこうした石碑がたいへん多く、かつては人口も経済力もある地域だったのだろう。