遊歩道には行先と距離が示されていて分かりやすいし、足下に「100」、「200」とキロポストの杭が打たれていて目安になる。700を越えて半分来たあたりで、前方に展望台が見えてきた。
木々の背丈よりやや高い位置に建てられているので、四方に展望が開ける。ここは1/25000の独標点になっていて、地図上に163mと標高が示されている。市民の森として整備されて展望台が作られる以前から、尾根のピークで目立つ位置にあったのだろう。
南の方角には低い稜線がいくつも重なっているのが見える。稜線までは距離があり、おそらく養老渓谷・大福山あたりだろう。一方、北西の山は結構近い。左に頂上があるが、ほとんど標高を下げずに横長の山容を示している。あれが御所塚山のようだ。
御所塚山の向こう側は大規模な採石場になってしまい、ほとんど山の態をなさないほど切り崩されている。飛行機で上から見ると、房総半島は採石場とゴルフ場でできているように見える。ただこちら側から見ると、山は緑でいたって平和である。
歩いて分かったのだが、山のこちら側は国有林である。「山」の標柱もあったから、その前は御料地である。皇室や国の持ち物だから、切り崩されずに済んだ訳である。
採石場の前の時代には、房総の山々は房州石の産地となり建材や七輪の材料として大量に切り出された。房州石は栃木の大谷石と同様、凝灰岩で加工しやすく良質な石材である。民間の持ち物であれば、自然保護よりカネが勝つ。
展望を楽しみながら、持ってきた薯蕷饅頭をいただく。予報では晴れて暖かくなり小春日和であったが、海に近いせいか雲が多い。とはいえ風はなく、まずまずの山日和である。少しするとシニアがお一人登ってきた。荷物を持っていなかったので、管理の方かもしれない。
30分ほど歩いて展望台へ。上まで登ると全方向に展望が広がる。

入れ違いで展望台から下りて奥に進む。遊歩道は尾根を進み、両側は切れ落ちて谷になる。ところどころで、危険防止のロープが引かれている。全体に几帳面に管理されている印象で、関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)より安心して歩ける道である。
ほぼ半分まで来ていたので残り半分、20分ほど歩くと舗装された林道に出た。林道からは市民の森(クオードの森)入口となるので、注意事項等が掲示されている。「林道からは駐車場に戻れません」とある。もちろん何kmも遠回りすれば戻れるのだが、家族連れにはそう言っておいた方が無難だろう。
林道に出てから御所塚山登山口まで、「房総のやまあるき」に15分ほどと書いてある。この本のコースは逆回りなので下り基調で15分。登りだともう少しかかるだろうと見当を付ける。ゆるやかなアップダウンを繰り返しながら、左手から御所塚山の稜線が近づく。ずっと石垣か擁壁で、取り付く登山口らしきものは見当たらない。
そうこうして進んでいるうちに、左右にゲートのある場所に出た。おそらく採石場で、立入禁止と書いてある。登山口の立入禁止は車両進入禁止の場合もあるが、採石場の立入禁止は歩行者ももちろんダメである。たいへん危ない。
スマホで現在位置を確認すると、進み過ぎてしまったようだ。来た道を戻る。電子国土(1/25000図)によると、林道が左ドッグレッグするあたりで右に入って尾根に取りつくようだ。そのあたりまで戻ってみると、確かに暗い入口があるが、最初から薮である。テープもない。ここでいいのだろうか。
(この項続く)
p.s.中高年の山歩きシリーズ、バックナンバーはこちら。
展望台から北西方向に見える横長の山が御所塚山のようだ。山の向こう側は採石場だが、こちら側は国有林で緑。

20分ほど歩いて万田野林道に出る。「林道から駐車場には戻れません」と注意書きがある。
